介護施設を利用すると、精神的、健康的に多くのメリットがあります。
僕はグループホーム勤務なので、その視点で述べたいと思います。
定期的な運動
どの介護施設であっても、体操の時間が設けられています。
高齢になると日常的な動作も満足に行えなくなってきます。たった一週間入院した(=体を動かさなかった)だけで、生活能力が激減してしまう方も大勢います。
定期的に体操することは、自分で生活する能力を維持することに繋がります。例えば自分の気持ちで立って歩き、行きたいところに行き、例えば水を飲みたいときにもらいに行ったり、トイレに行きたいときに行けたりといったものです。
認知症が進んでいても、みんなと一緒に体操することで、運動能力が回復するパターンもあります。数は少ないですが、できなかったことができるようになるケースもあり、結果的に介護度が下がるといった場合さえあるのです。
バランスのとれた食事
自分の家で、高齢者に向けたバランスの良い食事を出し続けることは難しいです。
グループホームの場合であれば、専属の栄養士がいるか、そうでなくとも介護職員の視点が入った食事が提供されます。
また高齢者にとって食事量を把握しておくことはとても重要です。食欲がなくなってきていることが体の不調のサインであることは言うまでもありませんが、それを記録して管理し、すぐに医療機関の受診につなげるのは普通の家庭では難しいと思います。
加えて高齢者には水分が不足しがちという問題があります。在宅介護をされている方で、毎日の水分量を数値として記録している方はほとんどいないのではと思います。高齢者の脱水症状から来る体調不良は中長期の入院の原因となりますので、水分量を把握しておくこともとても重要です。
食事や水分を管理するために介護施設を利用する意味は大いにあります。
孤独からの解放
在宅介護を必要としている方は孤独になる傾向があります。
友人関係を維持しながら介護を受けているというケースは限りなく少ないのではないでしょうか。認知機能の低下から人間関係が希薄になってゆくというのは良くある話です。
介護施設を利用すれば、同じような境遇の同世代の方々がたくさんいます。もちろん友人関係になれるかどうかは別問題なのですが、少なくとも自室にこもってテレビだけを見る生活からは抜け出せます。
認知症を患っていても、孤独はあらゆる健康を害します。周りに人がいるという環境が、認知症の進行を遅らせるということもあります。
また孤独な要介護者を見続ける家族もつらいものがあります。ご本人様も孤独だし、それを支える家族も孤独になりがちです。
介護施設は、当たり前ですが、要介護の方々やその家族と数多く接してきています。一人で問題を抱え込むよりも、状況が好転するケースが多いでしょう。